研究課題

Digital Rolling Platform
圧延加工における形状/温度/内部組織連成3次元解析

変形加工&内部組織一貫解析のための理論基盤

変形加工においては、塑性変形制御による形状の生成と、内部組織制御による機械的特性の適正化が同時に行われています。変形加工によって製造される製品の付加価値を高めるためには、形状と内部組織を同時に解くことができる理論基盤が必須です。この基盤技術は、わが国の素材・素形材産業の競争力を今後も維持するために、欠くことができないものです。
本研究室では、塑性変形と内部組織の一貫解析を可能とする枠組みをDigital Rolling Platform(DRP)と名づけ、基礎研究を行っています。

DRP1

変形加工においては塑性変形に伴い内部組織が変化します。例えば熱間加工の場合、組織変化の素過程は、動的・静的再結晶や析出、さらに回復が共存しており、これらがさらに温度ならびに変形速度に依存しているといった、非常に複雑な変化をしています。

DRP2

DRPでは、マクロなスケールで生じる塑性変形と、ミクロなスケールで起こる内部組織変化を、マルチスケールモデリングを利用して解析します。

プラットフォームは素材を問わず共通です。各合金組成間の冶金学変化は、材料ゲノムデータベースに保管され、適宜引き出して利用します。

プラットフォームは、適切な内部組織解析手法を利用して構成いたしますが、本研究室では、転位密度を媒介として本研究室で定式化された、再結晶・変態組織の増分形予測手法をコアとして利用しています。

DRP3

棒線材圧延を対象とした組織予測事例を以下に示します。
変形加工から変態まで一貫して、増分形内部組織予測手法で計算されており、たとえば変態開始時点での残留転位密度が、変態の速度や変態後組織に及ぼす影響などを、精度良く求めることができます。

DRP4